TeXなどを使わない(えない)私のような研究者にとってはWordで文章を作成するのが一般的だと思いますが, 報告書などで数式が多くなると, あとから数式を追加したり, 順番を入れ替えたりすることが必要な場面も多々あります. すると文章中の数式番号も書き換えねばならず, 相互参照しておくことが望まれますが, Wordは(も?)この部分の機能がいまいち親切ではないように思います. 

不便と感じながらも, 少しでも作業効率は良くしたい. 現段階で私にとっての最善策を備忘録的に残しておきたいと思います. 

Wordは(2016以降?)「参考資料」→「図表番号の挿入」をつかって, 図や表のタイトルを入れるのと同じように数式番号を入れることができ, 「相互参照」で文章中に番号やラベルを挿入することができます. しかし, どうやらWordでは図表番号を挿入すると, 同じ段落にある文字列はすべてラベルとして認識されてしまうようです(参考:Word2010 :相互参照で図表番号の番号のみを参照したい).

そのため、相互参照すると番号や(「図」や「数式」などの)ラベル以外にも数式そのものがラベルとして認識され, 文章中に含まれてしまいます. 
回避策として, 罫線なしの表を作って数式と番号を分ける方法が提案されておりますが, この場合, 「図表番号の挿入」で「数式」を選択すると, 表自体が番号付の対象となり, なぜか表内に含まれてくれません. 

いろいろ工夫してみましたが, とりあえずの解決策として, 

1) 1 × 2 の表を作成, (1,1)に数式を, (1,2)に数式番号を入れる(これで数式がラベルになるのを回避).
2) 数式番号はSEQフィールドで入力(これで表内に含まれる: 数式と同じ行に番号が付される)

という2段階で当面は対応することにしました. 

1) 下記のような表を挿入します.
1

2) 1列目には数式を入れます.
2

3) 2列目にCtrl+F9でフィールドを挿入します.
3

4) フィールド上で右クリックすると「フィールドの編集」が出ます. 「リンクと参照」から"StyleRef"を選択し, スタイル名は章番号に紐付いているスタイルを選択します. 
4

5) これで章番号が入りました.
5

6) ハイフンを入れたあと, 再びCtrl+F9でフィールドを表示し, seq eqと入力します. eqは任意のラベルです. ラベルに紐付いて番号が付されるようです.
6

7) こんなふうになります. 章番号は任意です.
7



上記のように, フィールドは{STYLEREF "見出し 1"\n}-{SEQ eq}としておくことで, (章番号-数式番号)という表現ができます. (ただしアウトラインを定義しておくことが必要)

また, 表はクイック表で, 1 × 2の罫線なし表(2列目に数式番号のフィールドを入れておく等)を作っておくと, 毎回表を挿入後に微調整することもなくなり, 作業を(少しは)軽減できると思います. 

あまりスマートではありませんが, 相互参照をする方法は今のところこのような方法もあります, というご紹介でした. 

*下記を参照させていただきました. 
http://office-qa.com/Word/wd89.htm
http://office-qa.com/Word/wd326.htm
https://www.k-pmpstudy.com/entry/2017/05/29/014714
クイック表作成を使用して表を挿入する